同じ色・形の宝石でも、配置や地金の種類を変えるとパッと印象が変わりますよね。
宝石や金属などの素材の魅力を引き出し、私たちに新しい価値を提供してくれるジュエリーデザイン。
ジュエリーには「ソリテール」「取り巻き」や「サイド・ストーン」といった用語がたくさんありますが、そもそもジュエリーにはどんなデザインがあるのでしょう。
今回はジュエリーの基本デザインについて。
前編では「宝石の配置」とデザインの「モチーフ」についてお届けします。
婚約指輪や結婚指輪を選ぶとき、オーダーメイド・リフォームのデザインを検討しているときにも参考にしてくださいね。
宝石の配置とは?どんな種類がある?
宝石の配置は大きく三つに分けられます。
センターに一つの石を留めた「ソリテール」、そのサイドに宝石を添えた「サイド・ストーン」。
複数の宝石をあしらった「取り巻き」「マルチ・ストーン」などのデザインです。
ソリテール
一個石のジュエリーを「ソリテール」と呼びます。
ソリテールはフランス語で、英語ではソリテア。
一粒ネックレスもソリテール・ネックレスと呼ばれますが、一般的にはダイヤモンドの立て爪リングを指します。
センターに留められた一粒石のリングは、婚約指輪や結婚指輪として人気の高いデザイン。
シンプルなデザインなので、石留めによっても雰囲気を大きく変えます。
ソリテールを選ぶ際には、石留めや爪の形状にも注目したいですね。
関連記事:石留めとは何?実は豊富な石留めの種類
サイド・ストーン
中石のサイドに脇石を留めた「サイド・ストーン」。
石が三つ並んだ姿から「トリロジー」とも呼ばれます。
中石も脇石も、宝石の種類やカットを限定しませんが、一般的に脇石にはメレ(小粒石)を使用。
基本的にはサイドにひとつずつ配置するシンメトリーのデザインですが、片側にメレを寄せたアシンメトリーのデザインもあります。
取り巻き
中石をメレで取り囲む「取り巻き」。
メレに使用されるのはおもにダイヤモンドで、華やかな雰囲気が特徴。
華やかな色彩と輝きが夜に映えることから、取り巻きリングは「ディナー・リング」とも称されます。
テーパー・バゲットが波打つようにセッティングされたリングは「バレリーナ」。
ラウンド・メレが同心円状にセッティングされると「クラスター・セッティング」と呼ばれます。
クラスターは英語で「花の房」といった意味があり、花が咲いたかのような愛らしいデザイン。
マルチ・ストーン
取り巻きのような中石がなく、複数の宝石だけで構成されたデザインを「マルチ・ストーン」と呼びます。
同種類の宝石だけを留めたものから、サイズ違い・カット違いの宝石をあしらったものも含まれます。
色が異なる宝石を組み合わせたリングは「カクテル・リング」と呼ばれ、カラーダイヤモンド同士をセッティングしたり、サファイアやルビーを組み合わせたりとその楽しみ方も多様。
グラデーション・タイプ
異なる色や大きさの宝石をグラデーションになるようにセッティングしたデザイン。
たとえばピンク・ダイヤモンドなら、薄いピンクから濃いピンクになるように、色の濃淡によって配置を決めます。
同一の宝石を使用する以外に、種類の異なる宝石を使用することも。
このとき、重要になる作業が「石合わせ」。
石の色や大きさ、形、品質を選別する作業を「石合せ」と呼び、この石合わせでジュエリーの魅力も大きく変わってきます。
ジュエリーの代表的なモチーフとは
宝石の魅力を引き出すジュエリーデザインがあれば、想いや願いを込めたデザインもあります。
そのひとつがモチーフ。
ジュエリーに使用されるモチーフは、動植物から無機物まで多種多様。
ここでは代表的なジュエリーのモチーフをご紹介します。
花や鳥などの動植物モチーフ
古くからジュエリーのモチーフとして、花や葉、鳥や虫といった動植物が使用されてきました。
国や時代によって、好まれてきたモチーフは異なりますが、鳥の中でも平和の象徴である「鳩」や、幸運を引き寄せると信じられている「ホースシュー(馬の蹄)」は現在でも広く愛されています。
幸運を表すモチーフは、ほかにも「クローバー」や「ローリエ(月桂樹)」、「蛇」があります。
愛や絆を示すモチーフ
多くのジュエリーブランドで展開されているハートやリボン。
シルエットの可愛さだけでなく、ハートは愛情を、リボンは結びつきを表すモチーフとして、ジュエリーには欠かせない存在です。
自分で手に入れるだけでなく、贈りあう機会もあるジュエリーだからこそ、愛や絆を込めたモチーフはいつまでも支持されるのかもしれませんね。
ハートのほか、手と手を取り合ったモチーフの「フェデリング」、結び目で縁の結びつきや絆を表した「ノットリング」などもあります。
関連記事:ピンキーリングの意味は?ファランジリングとは?意外と知らないリングの種類
また、ジュエリーで人気のモチーフといえばイニシャル。
自分の名前や恋人、家族の名前、メッセージの頭文字を記したジュエリーは、とても特別感がありますね。
宗教的な意味合いを持つモチーフ
永遠の意味合いを持つクロス(ロザリオ)。
罪人を磔にする十字架でイエス・キリストが処刑されたことから、キリスト教では宗教的な意味を持つモチーフでした。
おもに日本ではファッションアイテムとして身につけられています。
クロスに限らす、現在ではデザインとして消費されているモチーフですが、あらためて意味を調べてみるのも楽しいかもしれません。
POINT
- 宝石の配置と数などで「ソリテール」「サイド・ストーン」と分けられる
- 取り巻きでも使用するメレや配置の違いで名称が変わる
- ジュエリーの代表的なモチーフは「動植物」「愛情や絆の象徴」「宗教的意味合いを持つもの」
【あわせて読みたい】ジュエリーの基本デザイン:続いて中編は石留について!
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。