“旅するジュエリー”をコンセプトに展開するブランド、PETHICA(ペシカ)。
バックパッカーとして世界50カ国を旅したデザイナーの旅の思い出、そこから生まれるジュエリーの物語を綴るコラムを連載しています。
今回は、ミャンマーで体験した旅の時間のお話。
その土地をより知るために。ミャンマーで、遺跡を見に行く
PETHICAでは、デザイナーが訪れた国・土地のことを知って発信し、一人でも多くの方に世界を身近に感じていただき、訪れたり、想像したり、偏見や差別がなくなって「人類みな兄弟」と思えるような社会になったらいいな…というのもブランドのポリシーとして掲げています。
ミャンマーへルビーの買い付けに訪れたときのこと。
買い付けはメインではありますが、その土地のことをより知ることも「旅するジュエリー」の役目のひとつ。
ミャンマーで、とても美しい遺跡があるときいて訪ねました。
その遺跡は”カックー遺跡”といいます。
ガイドブックなどには大きく取り上げられていないため、情報も少なかったりします。とても小さい遺跡なので、わざわざそこへ行く人も少ないそう。やや辺境な観光スポットです。
その遺跡へ向かうには、公共の交通網はなく、チャーターかバイクレンタルなどの手段がありました。デザイナーの私は時間が限られていたため、車をチャーターすることにしました。
私一人なのに、運転手と助手(英語ができる通訳のような人)が付きました。高額を支払ったわけではなかったけれども、なんだかVIP気分。彼らは彼らで「この女性一人でこの大きな黒いバンをチャーター??」と少し不思議そうに出迎えてくれました(笑)
買い付けする次の街への長距離夜行バスの時間が決まっていたため、限られた時間でまわらなくてはいけません。それなのに、サービス精神旺盛な彼らは、「〇〇も寄っていく?〇〇は見たい?」と連れまわしてくれようとします。
私は「とにかくカックー遺跡に行ければいいから!」と。そこまでメジャーな観光スポットでもない場所しか見ようとしない私を、彼らはますます不思議そうな目で見続けるのでした。でも、要求は理解してくれたそうで、寄り道せずに行くぞーと。
牛たちの横断を待つ。「道中を楽しむ」ということ
距離がけっこう離れていたので、ドライブ時間が続きます。
そんな中、こんな風に牛に道を遮られること何度も。動物を大切にするので、ブッブーなんて車のクラクションは鳴らしません。ゆっくりと動物たちが横断し終わるのを待つのです。
この遮られている時間って、1回につき10分とか20分、もっとかかることも。だって散り散りにいるから一気に進むわけにいかないのです。
それにしても、この写真だって、すごい数の牛でしょう?!ずっと先まで続いているのです。
牛たちも車の窓から私が凝視しても、なんにも動じません。
最初は、「時間まにあうかしら…」とそればかり気になっていましたが、1回だけではないことがわかり、もう天に任せるしかありませんね。
目的地に着くことよりも、この道中をとことん楽しむ。それが旅のメインになっていました。そう考え方をシフトするだけで、焦りやイライラってスッと消えるのですよね。
時の流れはそれぞれ。自分のペースで
旅するそれぞれの地で感じる“時の流れ”は、本当に体感してみないとわからないもの。
そして、この体験があると、どこでも構えていられるような自分になれる気がします。
このミャンマーの旅では、他にもいろいろなことが起きましたが、ちょっとのことでは動じません。
郷に入れば郷に従え。よく言うものですね。その通り。私もミャンマーの村人たちと同じ時間の流れを過ごしました。
この牛たちが通り過ぎていった光景は、いつまでも私の中にあり、旅の楽しい思い出となっています。
日本や世界で様々なことが起きています。時節柄、不安になることも多いかもしれませんが、考え方をちょっとシフトしてみれば、とても楽になることがあります。
どうか笑顔を忘れずに、自分のペースで日々を楽しんでまいりましょう。
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PETHICA Designer / Creative Director
世界を回って広大な自然を感じ、さまざまな人と出会い、笑ったり涙したり、耳をかたむけたり。
そうして受けたインスピレーションがひとつにつながって、ストーリーから生まれるジュエリー”旅するジュエリー”をデザインから制作までしています。