ファッションの定番アイテムのひとつ、ボーダーのTシャツやカットソー。
この「ボーダー」の意味とは?ボーダーとストライプの違い、ご存知でしょうか。
コーデの際の印象の違いも気になります。
そしてボーダー=フレンチカジュアルの印象を高めた「バスクシャツ」とは?
今回はボーダーとストライプの違い、印象の違い、大人のボーダー・バスクシャツの意味や代表的なブランド…時代を超えて愛される「しましまの柄」・縞模様についてお届けします。
ボーダーとストライプの違いとは?
「ボーダー」は日本だけの表現?
「ボーダーとストライプの違いは、しましまの向き!ボーダー=横縞、ストライプ=縦縞」と認識されている方もいらっしゃるのでは?
その通り、日本ではこの言い方が主流。でも実はこれ、日本独特の表現なのです。
ボーダー(border)の英語の意味は「境界」。「へり、縁(ふち)」「国境」など、境界線をborderと呼びますが、縞模様という意味はありません。
カラーで縁(ふち)取りされたデザインの靴下がborder socks と呼ばれるなど、縁取り柄にborderという表現が使われていたので、日本では縁取りから連想した横縞全体もボーダーと呼ばれるようになったと考えられます。
ストライプは縦縞のこと?英語で横縞は何と言う?
いっぽう、縦縞といえばストライプ。
このストライプ(stripes)が、英語圏では縞模様の総称。
2色以上の色違いの線を平行させた模様のことで、英語では縦、横、斜め、どの向きでもストライプと呼ばれるのです。
縦と横を表現したい場合は、縦縞はvertical stripes(垂直なストライプ)、 横縞はhorizontal stripes(水平なストライプ)となります。
日本と海外での意外な呼び方の違い、驚きですね。
(この記事では日本の表現に合わせ、ボーダー=横縞・ストライプ=縦縞として使っていきます。)
ボーダーとストライプが着こなしに与える印象とは?
素材の違いが柄の「印象」を生み出す
同じ縞模様でも、ボーダーはカジュアル、ストライプはきちんとしている…そんなイメージがありませんか。
その印象の元になっている理由のひとつが、素材です。
服の素材(生地)は主に「編む」か「織る」方法で作られます。
横縞:ボーダー柄は編物(ニット)で作られることが多く、具体的にはTシャツやカットソー(編地を縫い合わせたもの)、セーターなど。伸縮性がありカジュアルでスポーティなウェアに多用されます。
いっぽう縦縞:ストライプ柄は織物(テキスタイル)で表現されるケースが多く、具体的にはシャツやスーツなど仕立てて作られる服になります。
素材と作られるアイテムからの連想で、柄の印象の違いも強まっているんですね。
このほかプリントなどで縞模様を表現する技法もあります。
ボーダーやストライプをコーデに取り入れる印象効果とは?
縞模様は、シンプルなのにインパクトを与える柄。
着こなしに直線の持つきっぱりとしたシャープさやリズム感、粋(いき)な雰囲気をプラスし、配色で個性を表現します。視認性を高める機能も持っています。
また、ラインが細いと上品に、太いと快活に見え、ラインのピッチや配色のコントラストによっても雰囲気が変わります。
そして縦と横の方向性の違いが、印象を変えます。
- ボーダー(横縞):カジュアルさや快活さ、存在感、親しみやすい雰囲気をプラス。
- ストライプ(縦縞):上品さやきちんと感、縦線による着やせ効果をプラス。
縞模様の効果、ボーダーとストライプの印象の違いを意識しておくと、コーデのスパイスに活用できますよ。
大人ボーダーの定番「バスクシャツ」とは?
バスクシャツの意味と代表的なブランド
さて、ボーダーコーデは「フレンチカジュアル」と呼ばれることが多いもの。
その印象を高めているアイテムの代表が「バスクシャツ(basque shirt)」です。
【典型的なバスクシャツの特長】
- ボーダー柄(海に転落した際、発見されやすいよう視認性を高める)
- ボートネック(着脱しやすい)
- 度詰め(密度が密な)されたしっかりめのコットン素材(耐久性がある。ちなみにシャツと呼ばれていますが編地です)
- 少し短めの袖(作業しやすい)
バスクシャツは、フランスとスペインの間にあるバスク地方で漁師や船乗りが着ていた作業着が由来と言われていますが、実はこれも日本独特の呼び方なのだそう。ヘミングウェイの小説に出てきた「バスクシャツ」という表現が広まったという説もあります。
フランス・ブルターニュ地方の漁師が着ており、フランス海軍のユニフォームとしても採用されたことから、フランスではブルトンシャツ(ブルターニュ地方のシャツ)、ブルトンマリン、マリンシャツなどと呼ばれるようです。
代表的なブランドは「SAINT JAMES(セントジェームス)」「Le minor(ルミノア)」「ORCIVAL(オーシバル)」「Armor lux(アルモリュクス)」。いずれもフランスの老舗ブランドです。
フレンチカジュアルの代名詞になったバスクシャツ
本来はワークウェアとして着られていたバスクシャツ。
1920年代頃から、南フランスのリゾートで文化人やおしゃれセレブの間でファッションアイテムとして愛用されはじめました。
日本では1980年代以降「フレンチカジュアル」「リセエンヌ(フランスの女子学生)」ファッションがトレンドに。フランスのカジュアルウェアの典型的イメージのひとつとしてマリン風ボーダー、バスクシャツも脚光を浴び、現在まで続く人気に。
小粋な雰囲気で男女ともに似合い、普遍的なデザインながら配色などで個性も出せるバスクシャツ。
もともと海辺で働くためのウェアなので、しっかりとした作りで長く愛着でき、着こむほどに身体に馴染むのも魅力です。
ボーダーは子供っぽくなりすぎるという方にも大人のボーダーとしておすすめ。
最近は異なる素材感、袖丈やネックの変化、ビッグシルエットタイプなどさまざまなバリエーションも作られていますよ。
POINT
- ボーダー=横縞、ストライプ=縦縞。ただし日本独特の表現
- ボーダー=カジュアル、ストライプ=きちんと感。印象の効果をコーデに活かそう
- 「バスクシャツ」は長く愛着でき、大人のボーダーとしてもおすすめ
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。