世界的に大人気の映画「アナと雪の女王2」(2019年11月22日公開)。2014年に日本で公開され大ヒット、社会現象にまでなったディズニーアニメーション「アナと雪の女王」の続編です。
圧巻の映像美や深みのあるストーリーはもちろん、美しい衣装にも注目が集まる「アナ雪2」。
アナ雪の衣装はいつの時代がベース?アナとエルサの衣装の違いとは?今回は「アナと雪の女王2」の衣装とファッションの未来?についてお届けします!
「アナと雪の女王」衣装の時代考証は?
「1840年代&北欧」のエッセンスを現代に
「アナと雪の女王」シリーズは1840年代のノルウェーが舞台とされています。ちなみに原案とされるアンデルセンの「雪の女王」が書かれたのは1844年。
ただ当時のドレスとはちょっと違うのでは?と思われる方もいますよね。
服飾の時代考証を詳しく知りたい方に、おすすめの動画がこちら!
リアル資料(衣装現物や絵画)の豊富さと怒涛の解説トークに圧倒されます。さすがVOGUE。
この動画でも解説されていますが、「アナ雪」シリーズの衣装は当時の女王の服装や北欧の民族衣装のイメージ・ディテールをエッセンスにして、21世紀の私たちにわかりやすくアレンジしたものだと言えますね。
アナとエルサの衣装の「共通点」と「違い」とは?
「アナ雪2」アナとエルサの衣装、共通点は?
「アナ雪2」の製作にあたり、制作側はノルウェー、フィンランド、アイスランドからインスピレーションを得ているそうです。
北欧の民族衣装や結晶の幾何学的な文様(パターン)を美しく取り入れた二人の衣装。「アナ雪2」のストーリーでは文様のモチーフの持つ「意味」がとても重要。神話や民族衣装の原点にも立ち返ったかのようです。
そして二人ともディズニープリンセスらしくエレガント。
アナの衣装は、ディオールのニュールックのシルエットを参考にしているとか。ウエストのサッシュベルトは日本の帯からのインスピレーションだそう!
でももちろん、クラシックでエレガントなだけではありません。二人ともスカートの下にスリムなパンツを履いているのが現代的!
先ほどの動画で「当時の女性が足を見せるのははしたない」と指摘されていますしね。何より、とってもアクティブに活躍する姉妹ですから、激しい動きや防寒などを考えてもレギンスやパンツが最適アイテムです。
アナはクラシック、エルサは未来的。その理由とは?
そして映画を観ていると、アナとエルサの衣装の印象の違いに興味がわきます。
アナはクラシック、エルサは未来的(フューチャリスティック)。
アナの衣装はフェルト感のあるウールやベルベット、刺繍、ヘリンボーンのパンツ、革のトリミング、金属の留め具…黒を基調に前作より少し大人っぽくなったアナ、レトロでリアルな質感や手仕事感がよく伝わってきます。
いっぽうエルサ。冒頭のラベンダーグレイのドレスから、冒険の旅に向かうアイスブルーの衣装に変わるにつれ、未来の衣装という印象が強まるのです。
透けるチュールのマント、エレガントでオートクチュールのような繊細な装飾、なのに機能的でアクティブ。身体にフィットしたあの服はスーパーストレッチ素材?SFに出てきそうなブーツ?縫い目はなし?風や荒海に耐え抜く?そしてプリキュアばりの衣装チェンジ!
この疑問はパンフレットを読んで解決しました。
「エルサの着ているものはほとんど魔法を使って作ったもの」…!そうか!そもそも魔法の服、という設定なのですね。
アナの衣装にはリアリティがあり、エルサの衣装は現実離れしていく…ストーリーに合わせて衣装も二人の違いをきめ細やかに表現していたのです。
Into the Unknown…「未知」のファッションへ
ファッションの世界も未知の旅へ踏み出している
魔法という力を授けられているエルサ。かつて自分の力を恐れていたほどのエルサは、「アナ雪2」では不思議な声に導かれて、自分に力が与えられた理由を求め、未知へと歩を進めていきます。
すぐには出来ないかもしれないけれど、人は未知の旅へと赴かずにはいられないのかもしれません。
実は、ファッションも同じなのです。
未来のファッション?なんだか荒唐無稽に感じるかもしれないけれど、「アナ雪」の元設定である1840年代のドレスから、明らかに少しずつファッションは変わってきていますよね。
この半世紀を見ても、ファッションはより未来へと進化しています。
例えばストレッチ糸、水をはじく撥水素材、デジタルプリント、ヒートカットなどで縫わない技術、異素材を使ったジュエリー・アクセサリー。さらに、サステナビリティを意識したマテリアルやバイオデザインの研究も近年高まっています。
「イントゥ・ジ・アンノウン」の力強さ
もちろん古きにも学び、行きつ戻りつ模索しながら、私たちは新しい素材、新しい技法、新しい表現やデザイン、スタイルを探しているのです。まさに「Into the Unknown」。
1840年代から2019年へ、そして未来へ。
エルサたちが冒険へと旅立ち、過去の謎を解き明かし、新たなステージに変わる姿は、私たちのリアル。エルサの魔法の衣装も、現実になっていくのかもしれませんね。
映画の最後、アナはベルベットのような質感と重みが伝わる深いグリーンのドレス。伝統と責任を感じます。いっぽうエルサは髪も結わずますます軽やかに、美しく輝く未知のエレガンスをまとっているよう。
二人の新たなステージを対比するようなスタイリングにも魅了されました。
POINT
- 「アナ雪」シリーズの衣装は、1840年代・北欧の服装を現代的にアレンジしたもの
- 「アナ雪2」のアナはより大人っぽくクラシック、エルサは未来的
- 「Into the Unknown」。エルサの衣装はファッションの未来かも
「アナと雪の女王2」は、環境と人間、民族と民族、また女性の生き方などが盛り込まれ、いまの時代を象徴するちょっと大人向きとも言える映画。
圧巻の映像美や音楽も感動的です。クリエイションに関わる方ならヒントにあふれている作品ですので、ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね。
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。