2020-2021AW(秋冬)シーズンのファッショントレンドはどうなるのでしょうか?
2020SSトレンドの記事でご紹介したように、未来のトレンドはカラーや素材の世界からもうスタートしています。
2020年以降、つくる側・つかう側、みんなの意識が大きく変化⁈サステナブル・ファッションとは?
社会情勢や素材の展示会の様子などから、2020年から2020-2021年秋冬に向けたトレンド情報&今後のヒントをお届けします!
2020-2021AWは「サステナブル」が当たり前に
社会の価値観が変わる!「サステナブル」アクションが活発化
これまで毎シーズンごとの話題をご紹介してきたトレンド記事。
でも今私たちは、シーズントレンドという視点では語りきれない、もっと地球規模での大きな「変わり目」のソーシャルトレンド…パラダイムシフト(社会の価値観が劇的に変わること)の渦中にいると言えそうです。
キーワードは「サステナブル(sustainable;持続可能な)」。
この言葉じたいは知っている方も多いのでは。
ヒカリモノガタリでもすでに「令和時代のトレンドを探る5つのキーワード」という記事で、「エシカル・サステナブル」をご紹介しました。
地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、ずっと生活し続けていける社会へ…。
実現化には課題も大きいテーマですが、2015年、《2016年から2030年までの国際目標》として制定されたのがSDGs(Sustainable Development Goals ;持続可能な開発目標)。このSDGsをきっかけに国や各産業・企業の具体的なアクションが活発化しています。
プルミエール・ビジョンやユニクロもサステナブルに本気
最近ファッションの世界でインパクトになったのは、2019年9月にフランス・パリで開催されたプルミエール・ビジョンという大きな素材の展示会。
毎シーズンのトレンドを牽引するファッション素材の見本市で、2020-2021AW展では「エコ レスポンシビリティ(環境への責任)」、サステナブルファブリックを大きく打ち出したのです。
フランスでは2023年までに売れ残った衣料品の廃棄が禁止に。また2019年8月、G7で「ファッション協定」が発表され、ラグジュアリーブランドから小売業まで環境への影響削減の実践を求められています。このような動きにプルミエール・ビジョンも歩調を揃えたようです。
そして日本でも政府や企業でさまざまな動きが。例として、2019年10月には、ユニクロを擁するファーストリテイリングの「『サステナブルであること』はすべてに優先する」という《サステナブル宣言》が登場しました。
そもそも何がサステナブルなの?サステナブル・ファッションとは?
理想はそれぞれ。現実を改善することから
ところで、そもそも何が、どんなことが地球環境に優しくサステナブルなのでしょうか?
環境問題はそれぞれの生き方や立場などによって理想も異なり、個々の判断も異なる分野です。一筋縄ではいかない難しさがあります。
「CO2排出量の削減」「環境負荷削減」「労働環境の改善」…サステナブルな社会の実現のために課題となるテーマですが、各論となるとひとつひとつ考えて手がけていかなくてはいけません。
ただ、これまでの社会や経済の論理への危機感は世界共通です。
SDGsの17の目標のうち「つくる責任、つかう責任」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」といった視点を土台に、現実の「行き過ぎた資源大量消費型の社会状況を改善」していく動きは確実に進展しています。
サステナブルなアクションから生まれる「サステナブル・ファッション」
ファッション分野では、例えばこのような項目がサステナブルなアクションとしてあげられるでしょう。
- 大量廃棄につながる過剰な大量生産をしない
- リサイクル素材、バイオ原料などサステナブルを意識した素材を使う
- 資源を活用、環境にやさしい循環型の生産工程に改善していく
- デザイン段階から製品寿命後のプロセスまで考えてものづくりをする
- 包装・資材を見直す(特に使い捨てプラスチックの削減)
ユニクロでは2020-2021AWからリサイクルダウンを活用した新商品の販売が予定されています。
またすでに「グリーンラベル」でサステナブルな素材を使用していることを明記しているH&M、生産量の20%削減などを実施するearth music&ecologyなど、おなじみのブランドも取り組みを強化。
ハイブランドやデザイナーといった個々の動きだけでなく、巨大企業や連合体が次々とサステナブルなものづくり・販売を実現化していくことで、つかう側の心理も影響されていきそうです。
サステナブルなアクションで作られたものがサステナブル・ファッションに。
2020年には各社対応が加速、2020-2021AWにはサステナブルが当たり前となり「サステナブル・ファッション」「サステナブル・ブランド」といった表現も増えていきそうですね。
2020-2021AW素材展示会でも「エコ」「サステナブル」にスポットライト!
2020-2021AW素材の展示会、「GO ECO」!
先日訪問した大手繊維素材企業の2020-2021AW展示会でも、大々的に「エコ」「サステナブル」「リサイクル素材」を打ち出していました。
実は、素材の世界では環境問題への取り組みがかなり以前から進んでいました。
パタゴニアがペットボトルをリサイクルしたフリースを打ち出したのが1993年。上記の企業もペットボトルリサイクル素材を1995年には生産開始しています。植物由来の合成繊維なども技術開発や販売が行われており、「サステナビリティ」という言葉も使われていたのです。
さまざまな経済の状況、社会の複雑な仕組みなどの課題から、足踏みをしていた分野とも言えます。
ここに来て、いよいよ真剣にサステナブルな社会を作る時が来たということなのかもしれません。つくる側も、つかう側も、一過性のトレンドで終わらせずみんなで取り組みたい大きなテーマです。
よりわかりやすく提案することもサステナブル・ファッション推進の一歩。展示会ではペットボトルが衣料品へと変身する工程を、ショップディスプレイのようにスマートに紹介していました。
2020-2021AWのファッショントレンドは?
「エコ」と「エゴ」。より構築的に、個性を大事に。
さてこんな大きなテーマが根底に流れる時代、いわゆるファッションのトレンドはどうなるのでしょうか?
暗い森に迷い込み、最後にはそこから飛び出す…「自然」と「自分」の関係性をキービジュアルにしたプルミエール・ビジョンでは、2020-2021AWは「変化のシーズン」、装いの変化はストリートウェアから構築的なテーラリングに移行しつつある、と指摘しています。
カラーは「デジタル・ニュートラル」「エゴセントリックな濃色」「ドリーミイな深さ」の3テーマ。
暖色系のソフトカラーが多めな印象です。
Premiere Vision 2020-2021 A/W 2 カラー(Apalog)
スポーツウェアの高密度、軽量、ボンディングなどのテクニカルな手法が新しいテーラリングに影響。
いっぽうベルベットやコーデュロイ、チェック、装飾的な柄…クラシックでエレガントなムードは継続しています。
個性を大事にする傾向が強まり、表情のある素材使いが増えそうです。
「エコ(サステナブル)」と「エゴ(個性)」…いずれにせよ「素材」が重要なシーズンになりそうですね。
長く着る、使う…「愛着」こそサステナブル・ファッションかも
またモノをつかう側としては、使い捨てにせず「長く愛する」という行動自体がサステナブル。なので「お気に入りを大切に着る、身に着ける」「愛着」の姿勢も注目されそうです。
みんながサステナブルな意識を高めることで、世界をより良い方向に。
素材も、製品も、使い方も…「サステナブル・ファッション」の行方、これからの未来に注目です!
POINT
- 2020年~2020-2021AWは「サステナブル」が大きなソーシャルトレンド
- 実は1990年代から取り組まれていた環境問題。2020年は実現化の年に
- 2020-2021AWは素材がポイント。「サステナブル・ファッション」に注目しよう
※本記事は展示会主催企業広報部のご了解のもと情報掲載しております。
新型コロナウイルス禍の影響後、より具体的な2020-2021AWファッショントレンドが知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。