宝石の色とりどりに輝く華やかさに思わず息を飲む瞬間もありますよね。
しかし、宝石のもつ魅力は鮮やかな色味だけではありません。
スモーキー・クオーツの透き通るようなみずみずしい茶の宝石や、ヘマタイトやブラック・オパールなどの存在感のある黒い宝石。
鮮やかではありませんが、たしかな威厳を感じる宝石たちです。
宝石シリーズも今回で最終回。
秋冬シーズンにも活躍する茶の宝石・黒の宝石の魅力をお届けします。
茶の宝石
スモーキー・クオーツ
インクルージョンが少なく、大粒のルースを楽しめる「スモーキー・クオーツ」。
宝石の多くは茶褐色がかっていると品質が落ちるとされていますが、スモーキー・クオーツは透明度が高く上品な茶色が印象的。
アンダリュサイト
スペインのアンダルシア地方で発見された、多色性が顕著な「アンダリュサイト」。
茶色以外にもカラーバリエーションが豊富で、石によって異なりますが、角度を変えることで茶色や黄色、赤色に緑色などさまざまな色を楽しめます。
産出量は少なく、宝石質のものならブラジルのミナスジェライス産が有名です。
アキシナイト
アンダリュサイトと同じく多色性を持ち、濃い褐色から薄い褐色まである「アキシナイト」。
結晶の形が斧に似ていることから、ギリシャ語で斧を表すAxineが語源。
大きな原石が少なく、ほとんどが5ct以下で産出する貴重な宝石。
ドラバイト・トルマリン
茶褐色のトルマリンを「ドラバイト・トルマリン」と呼びます。
透明から半透明で、ゴールデンイエローの輝きが見える濃い色味のものは、深みのある味わいが特徴。
ファイアー・アゲート
カボションに磨くことで虹のような輝きが確認できる「ファイアー・アゲート」。
ブラウンベースに、煙のようなマグマのような躍動感ある模様が幻想的です。
アンバー(琥珀)
橙色から黄色、茶褐色まである「アンバー」は宝石のなかでも軽く、日本でも産出する宝石。
産地によってはコマーシャルネームがあり、バルト海沿岸のものは「サクシナイト」と呼ばれます。
タイガー・アイ
ゴールドとブラウンの縞目が目をひく「タイガー・アイ」は、和名で虎目石(または虎眼石)と呼ばれています。
カボション・カットを施すことで、猫の目のようなシャトヤンシー効果が現れるものもあります。
ブラウン・ダイヤモンド
濃い色味は「コニャックカラー」、薄い色味は「シャンパンカラー」と呼ばれる「ブラウン・ダイヤモンド」。
カラーレスのダイヤモンドとは異なった趣が、シックな印象を与える宝石です。
黒の宝石
ショール(ブラック・トルマリン)
トルマリンの中でも産出量が多い黒色のトルマリンは「ショール」と呼ばれ、おもにビーズに加工されます。
ショールという名前は、ドイツ語で「黒いトルマリン」を意味する「schorl」が由来。
ヘマタイト
シルバーブラックが金属のような光沢をもつ「ヘマタイト」。
鉄の原料になる主要鉱物であり、カット面をつけると鋭い輝きを放ちます。
オニキス
本来、「オニキス」はアゲートのなかでも縞目のものを指しますが、現在では黒いカルセドニーを指すこともあります。
マットブラックでムラや曇りがないものが上質。
オブシディアン
火山性溶岩が冷却され化石と変化したのが「オブシディアン」。
光沢が美しく、「黒琥珀」とも呼ばれレインボー効果を持つものも。
不透明なブラックから透明なブルーまで、稀に黒以外のカラーも産出します。
クロチョウ真珠(黒蝶真珠)
サンゴ礁に生息する、クロチョウ貝から採れる「クロチョウ真珠」。
市場に登場したのが1970年と比較的新しい宝石です。
タヒチ産がほとんどで、緑色がかった「ピーコック・グリーン」が最上級とされています。
ブラック・オパール
地色が黒色から灰色で、グレーがかったものはセミ・ブラックと呼ばれます。
他のプレシャス・オパールと比べて遊色がより引き立つため、オパールらしさを存分に堪能できる特別な宝石。
ブラック・ダイヤモンド
色味の重厚感と、ダイヤのもつ高貴さを併せもった「ブラック・ダイヤモンド」。
ほかの黒い宝石とは異なり、ダイヤ自体に色があるのではなく、無数の黒いインクルージョンで黒く見えているのです。
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POINT
- 茶色・黒色でも多色性や遊色をもつ華やかな宝石もある
- ヘマタイトやオニキスなど、見た目では区別が難しいものも
- ブラック・ダイヤモンドの色の正体は黒いインクルージョン
茶色・黒色以外の宝石の記事もぜひご覧くださいね。
- 華やかな宝石がお好きなら【ピンクの宝石】
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。