2019年秋ファッションで話題のアイテム「キュロット」。
「キュロット、懐かしい…」と思う方もいれば、「キュロットとは何?英語?」「キュロットとガウチョとの違いは?ガウチョは何語?」「なぜ今またキュロット?」「30代や40代でもキュロット?」と疑問がいっぱいの方も。
2019-2020秋冬は幅広い世代に似合う大人キュロットが登場しています。
今回はキュロットの意味や歴史、ガウチョパンツとの違い、2019年秋らしい大人のキュロットコーデのヒントをお届けします!
そもそもキュロットとはどういう意味?キュロットの歴史
長い歴史のある言葉「キュロット」
キュロット(culotte)はフランス語で、半ズボンという意味です。英語でもキュロット(culottes)と言います。
フランス革命の頃は貴族が履いていたキュロット。ぴったり目で裾にボタン留めがあるような膝丈の半ズボン、タイツを合わせます。対する平民階級は長いズボンを履き「サン・キュロット(キュロットをはかない者)」と呼ばれ、革命の原動力になりました。
その後19世紀後期の英国で、乗馬する婦人のために考えられたスカートがディバイデッド・スカート(分割されたスカート)。20世紀に入りポール・ポワレが「キュロット・スカート」を発表するなど、女性が活動的になるにつれて創案されていった「スカート風パンツ」が今のレディスファッションのキュロットの源流に。
1960年代後半のミニスカートブームの頃はミニ丈のキュロットパンツ、その後70年代にはロング丈のスカート風…デザインによってキュロット・パンツ/キュロット・スカートと使い分けるようにもなりました。
1990年代に流行した可愛い系キュロット
日本では1990年代前半にキュロットが流行、これは丈が短めのものでした。ミニスカートより安心な可愛い系キュロットです。
さらにユニフォーム業界でも人気になったデザインが「ラップキュロット」。
前だけに一枚布を巻くように重ねることで、正面からはスカートに見えるデザイン。きちんと見えて動きやすく、オフィスやサービスのユニフォームにも活用されました。
ガウチョとは?キュロットとガウチョパンツの違い
ガウチョの源流は、南米のパンパスにいたカウボーイ
いっぽうガウチョ(gaucho)はスペイン語。ガウチョとは、南米(アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルなど)の草原地帯・パンパスで牧畜をしていた牧童たち、カウボーイのこと。
ガウチョたちが履いていた七分丈のゆったりしたズボンが「ガウチョパンツ」です。
本来のガウチョパンツは、ワイルドでエスニックな雰囲気ですね。
違う?似ている?キュロットとガウチョパンツ
日本でここ数年流行した「ガウチョ」は、だいぶソフトに変化。
- 裾広がりのシルエット
- 長めのふくらはぎ丈(ミモレ丈)
- 落ち感のある素材を使った着やすいAラインスカート風パンツ
ガウチョパンツはキュロットの一種とも言えますし、ワイドパンツの一種とも言えます。
キュロットはテーラードでかっちり目、短め/ガウチョパンツはイージーウェア寄り、長め…といった、ふんわりした線引きもあるかもしれません。
ただキュロットとガウチョパンツ、そこまで明確な違いはないとも言えそうです。
かたやフランスの貴族の服、かたや南米のカウボーイの服。発祥は全然違うのに、時代とともに似たアイテムの名前になっているなんて、歴史の不思議ですね。
2019秋に注目されている「大人キュロット」とは?
CELINEが提案した、新しいクラシックムード
さて、セリーヌ(CELINE)などの2019-2020秋冬コレクションの影響で、ここへ来て「大人っぽい長めのキュロット」が復活の機運です。
エディ・スリマン率いるセリーヌの提案は、「クラシック」「レディライク」「ブルジョワ」といったトレンドの牽引役にもなりました。(全体トレンドについては2019-2020秋冬トレンドの記事をご一読ください!)
…これはもう、「ニュートラ」!
ニュートラとは1970年代半ば~1980年代半ばに流行したスタイルで、ニュートラディショナルの略。アイビーやトラッドを大人っぽくエレガントにしたお姉さんスタイルとでも言いましょうか。昭和のブランドブームを作った流行でもありました。
1990年代よりさらにさかのぼった時代のテイスト。「大人キュロット」とでも呼ぶべき、懐かしく新しい2019年秋のキュロットの特徴を見てみましょう。
- ひざ下丈を中心とした長めの丈、スクエアなシルエット
- ウール混などクラシックなしっかり目の素材感
- ワンボックスプリーツ/サイドプリーツ/タックなど「直線」意識
- ブレザーやジャケット、ブルゾンに合う
2019秋・大人キュロットコーデのヒント
ニュークラシックな2019年秋「大人キュロット」。当然、ボウタイブラウスやジオメトリック柄のスカーフなどレディ風モードが似合います。
ただし大人世代の場合、かっちり決めすぎたり重くなると「ザ・昔のOL」になってしまう可能性も。それを狙っている場合は別として、「すっきり感」や「辛口」なハンサム・ウーマン寄り、今どきっぽい軽やかさ、カラーコーデや柄も意識したほうがよさそう。
大人キュロットコーデ、以下の3つのキーワードを参考にしてみてくださいね。
【辛口】ブリティッシュ&マニッシュテイストを意識。縦長ラインを強調して。
グレンチェック柄、裾がダブルとブリティッシュ(英国)&マニッシュ(メンズ風)テイストのキュロット。長めの丈も2019秋らしいブラウンのワントーンコーデですっきりと。
「縦長」を意識して。直線が強調された柄は知的で辛口、すっきり細見えします。チェックのラインの1色を他アイテムの色に使うと統一感が。
【引き算】主役をはっきりさせるコーデ
トレンドのサイドプリーツのキュロットを主役に。ボトムに存在感がある場合、シンプルな黒ニットなどを合わせてトップスを黒子(くろこ、舞台の裏方)にするとまとまりやすいです。組み合わせるうちにもっさりしてしまう…という方にもおすすめのコーデ。
【遊び心】トレンドカラーや柄でこなれた今どきっぽさを
鮮やかなマスタードイエローにブラウン、チェック…2019秋トレンドをおさえたコーデ。落ち感がある素材のタックキュロットは軽やかに着こなしやすいですね。
キュロットにジャケットなどを合わせ、どうも「面」が大きいなあ…と感じたら、レオパード柄などのアニマル柄、スタッズなど、遊び心のあるスパイシーな小物で引き締めるのもおすすめ。
POINT
- キュロットはフランス語で半ズボン。長い歴史がある言葉
- キュロットとガウチョパンツ、発祥は全然違うが現代ではかなり近い存在
- 2019秋は「大人キュロット」が復活。クラシック×「辛口」「引き算」「遊び心」コーデで新鮮に
「スカート風パンツ」は女性らしさと動きやすさを両立させてくれるアイテム。時代によって手を変え品を変え登場する形と言えそうです。
日本では「ガウチョ」が宣伝されすぎて名前に飽きた…という要因もあるのかも。よりフェミニンなスカーチョといった呼び方もありましたよね。
クラシックなかっちりシルエットに移行という流れからの「懐かしく新しいキュロット」、楽しんでみてくださいね。
【あわせて読みたい】大人キュロットにはブーツが似合いますよ。
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。