結婚指輪をはじめ、記念日やお祝いなどの節目に迎えるジュエリー。
そんな特別なシーンに、あなただけの特別をかなえるひとつがオーダーメイド。
しかし、オーダーメイドといってもさまざまな方法で制作されます。
長年身につける結婚指輪ともなると、しっかりと選びたいものですよね。
今回は、結婚指輪のオーダーメイドを考えているあなたに、作りの視点から選び方のヒントをお届け。
鍛造と鋳造の違い、ジュエリーの作りについての基礎知識もご紹介しますね。
結婚指輪のオーダーメイドは鍛造?それとも鋳造?
ジュエリー制作において、金属を成型する方法はおもにふたつあります。
ひとつは鍛造(たんぞう)で、もうひとつは鋳造(ちゅうぞう)。
漢字も似ていますが、どのような違いがあり、結婚指輪をオーダーメイドする際にはどちらを選べば良いのでしょう?
鍛造と鋳造の違いって?それぞれの特徴は?
簡単にいえば、金属を叩き上げて成型する方法が「鍛造」で、液体状にした金属を型に流し込み成型する方法が「鋳造」です。
扱う金属と出来上がりの見た目は一見同じでも、それぞれの加工方法によって仕上がりに差が生じたり、性質に違いが生まれます。
たとえば「鍛造」の結婚指輪。
「金属を鍛(きた)える」との言葉通り、金属をハンマーで叩き上げて、求める形に整えます。
時間はかかりますが、金属に含まれる微量の空気が抜けることで密度が増し、丈夫な仕上がりに。
いわゆる手作りと呼ばれる結婚指輪は、この「鍛造」を指す場合が多いです。
※ただし、手作りの結婚指輪がすべて鍛造を指すわけではありません。
また、鍛造には「プレス加工法」という量産が可能な製法もあります。
一方「鋳造」では、多くのジュエリーで「ロスト・ワックス・キャスティング法」を採用。
熱して液体状になった金属を、石膏などで作った型へ流し込む「鋳込み」をします。
型に埋め込んだ「ろう」の一種であるワックスを溶かし、その空洞となった部分に金属を流し込むため、ロスト・ワックスと呼ばれているのです。
細やかな造形・ボリュームのある表現が叶い、量産も可能。
鋳造にはロスト・ワックス・キャスティング法以外に、めっきの原理を用いた「エレクトリック・フォーミング加工法」や、コンピューターを用いた「光造形法」などの製法もあります。
結婚指輪のオーダーメイドならおすすめは鍛造?鋳造?
鍛造と鋳造の簡単な特徴を述べましたが、結婚指輪のオーダーメイドならどちらが良いのでしょうか。
じつはそれぞれにメリットとデメリットがあり、何を重視するかによって答えが異なります。
【「鍛造」のメリット】
- 強度が高いため、変形しづらい
- 表面に傷がつきにくい
- 重厚感と金属ならではの質感の美しさを堪能できる
ミル打ちなどの細やかな装飾も鋳造と比べると潰れにくく、華奢なデザインでも変形しにくいことが特長です。
デメリットは、サイズ直しを前提とした購入に適していないこと。
必ずしも不可能ではありませんが、鍛造の持ち味である強度が低くなってしまいます。
【「鋳造」のメリット】
- 複雑なデザインの表現に適している
- 比較的安価なコストで制作
- サイズ直しも可能(※デザイン上難しいものも)
動植物やカーブのあるデザインの表現もかない、鍛造と比べて価格が安い傾向にあります。
デメリットは、鍛造と比較すると硬さが劣ること。
華奢なデザインであれば結婚指輪の歪みが気になったり、表面傷が目立つと感じることも。
鍛造と鋳造。それぞれの良さが映える結婚指輪とは
鍛造か鋳造か、重視するものによって結婚指輪の選び方が変わってきますね。
あなたの理想のデザインは華奢なリング?それとも凝った作りのリング?
まだイメージできていなくても、実際に見ることでイメージが固まるかもしれません。
ここではそれぞれの製法の特長が際立つ結婚指輪をご紹介します。
細やかな美しさが映える鍛造の結婚指輪3選
グラデーションとなったミルが、二つの結婚指輪が重なることで繋がるロマンティックなデザイン。
ミルが宝石のように一粒一粒輝き、手元に華やかな光を添えてくれます。
つや消しと鏡面のコントラストが映える結婚指輪。
シンプルなフォルムも、鍛造だからこその美しさに惹きつけられますね。
鍛造の特長を生かしたジュエリーといえば木目金(もくめがね)。
異なる種類の金属を合わせて生まれる模様は、世界にたったひとつをかなえてくれます。
デザインの自由度が高い鋳造の結婚指輪3選
トップ部分にボリュームのあるシグネットリングは、鋳造ならでは。
エッジの効いた結婚指輪をお探しの方におすすめのデザインです。
リングが重なり合うデザインが、シンプルながら目をひきますね。
鋳造だからこそ、凝ったデザインも楽しむことができます。
花のもつ曲線の豊かさが表現された婚約指輪。
金属なのに自然と温かみを感じられます。
鋳造は多くの工房で可能ですが、鍛造が可能な工房はそれよりも少ないです。
また、手作りがすべて「鍛造」を指すわけではありません。
気になる場合には、必ず事前に確認をしましょう。
POINT
- 金属の成型方法は主に「鍛造(たんぞう)」と「鋳造(ちゅうぞう)」
- 結婚指輪のデザインや使用頻度も参考に鍛造・鋳造を選ぶ
- メリットだけでなく、デメリットも参考に
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。