リネンシャツやリネンワンピース、フレンチリネン生地…夏のファッション素材としてよくおすすめされる「リネン」(リネンの英語はlinen 、フランス語ではリンネル:linière)。
そもそもリネンとはどんな素材なのでしょうか?
麻とリネンは同じもの?麻、リネン、ラミーの違いは何?
どんな素材の特性があるの?リネンライクってリネン素材?
リネンの意味や「リネン庫」の意味とは?
今回はナチュラルで機能的なリネンという素材について、素材の特性や魅力からリネン豆知識までお届けします。
そもそも、麻とは何?リネンとは何?
リネンの原料、亜麻(フラックス)の花
麻という大きなカテゴリ、リネンはその代表
麻とリネンは同じ?何が違うのでしょうか?
実は「麻(あさ)」とは、20種類ほどある植物繊維の総称です。
日本では「麻」という言葉はもともと大麻から作られる植物繊維を指していました。時代とともに、海外から来た亜麻など広い範囲の植物繊維も含む大きなカテゴリの言葉になったのです。
その後、日本では家庭用品品質表示法で以下の2種類の素材が「麻」と表示されるようになりました。
- リネン:「亜麻(あま)」(英語ではフラックス)を原料とする素材
- ラミー:「苧麻(ちょま、からむし)」を原料とする素材
つまりリネンは、麻カテゴリの代表素材。
麻=リネンでも間違いではないのですが、原料の植物が異なるリネンとラミーが一緒に「麻」として扱われてきたのですね。
さらにその後、2017年に家庭用品品質表示法が改正され、リネンは「リネン100%」と表示できるようになりました(麻、亜麻、リネンいずれかの表示)。
リネンを使った服かどうか、着る人にわかりやすくなりましたね。
ちなみに大麻から作られる素材・ヘンプも本来の麻の仲間で、「植物繊維(ヘンプ)」などと表示されます。
リネンの特性、魅力とは?
人類最古の繊維・リネン
紀元前8000年頃には亜麻が生えていたことがわかっており、人類最古の繊維と言われるリネン。5000年前のリネンのVネックのプリーツドレス(!)が発見されているそうです。
リネンは亜麻の茎から繊維を取り出す「靭皮繊維(じんぴせんい)」と呼ばれます。
歴史的な書物では「亜麻布(あまぬの)」などとも訳されてきたリネンは、衣類・肌着など衣料用だけではなく、寝具などのホームリネン、ナプキンなどのテーブルリネンとしても愛用されてきました。
フレンチリネンなど、国名がついているリネンは亜麻の産地を指しています。アイリッシュリネン、ベルギーリネン、リトアニアリネンなどがあります。
リネンの魅力的な特性
リネン素材は以下のような特性を持っています。
- 吸水・発散性にすぐれる(コットンの約4倍の吸水率)
- タフで清潔(水に濡れると強度が出る、洗濯するほど柔らかくなり長く使える、毛羽立ちにくい、防カビ性がある)
- 自然なつや感・さらっとした肌触り(他の麻素材と違いチクチク感なし)
リネンの繊維にはペクチンが含まれているため、汚れがつきにくく、天然の抗菌性があり、なめらかで毛羽立ちが少ないソフトな風合いを表現できるのだそうです。
吸水性と清涼感のあるタッチなどから、主に春夏素材として用いられますが、オールシーズン快適な素材としても注目されています。
デメリットとして「麻はシワになりやすい」点をあげる方もいます。ただ、これはラミー素材などを含めての印象があるかもしれません。
リネン100%のシワは柔らかくニュアンスのあるシワ。リネンの味、風合いととらえることもできます。
味が出る、肌に馴染むまで長く使うのがリネン本来の魅力の楽しみ方。
タフでエレガント、味のあるシワ、長く付き合える…リネンはまさに大人の素材と言えそうですね。
リネンライク素材とは?
リネンライクはリネンではない⁈
リネンの生地(テキスタイル)は、リネン100%だけでなくリネンブレンド素材も作られています。綿混、レーヨン混など。
一方、「リネンライク」と書かれていたら、素材はリネンではなく合成繊維(ポリエステル100%やトリアセテート/ポリエステルなど)。「麻調合繊」と書かれる場合もあります。
リネンライク素材はリネンの外観やさらっとしたタッチを合成繊維で表現したもの。
リネン風の雰囲気を楽しみながら、シワになりにくい・ウォッシャブルなどのメリットがあり、きれいめなセットアップなどによく採用されています。
おまけ:「リネン」の意味と豆知識。意外な使われ方とは?
リネンとLINEの関係?リネンを使っていなくてもリネン?
リネンの意味は、ラテン語のlinum(亜麻)から。
ちなみに「亜麻の丈夫な糸」というところから線や筋を意味するline(ライン)という言葉が生まれたそうです。
オンライン、LINE…最先端のITの世界も、世界最古の繊維・リネンと時を超えてつながっているんですね。
ところでホテルや病院などで使うタオルや寝具を「リネン」、収納スペースを「リネン庫」「リネン室」と呼ぶことがあります。
これはもともと欧州の高級ホテルなどがシーツやクロス類をリネンで統一していたことに由来します。
今は実際にはリネン素材は使われていない場合が多いので、ちょっとまぎらわしいですね。
POINT
- リネンとは麻を代表する素材。原料は「亜麻」
- リネンはタフでエレガント、長く付き合える「大人の素材」
- リネンライク素材はリネン風の外観・タッチを持つ合成繊維
ちなみに「亜麻色の髪の乙女」という歌の「亜麻色」も亜麻の糸、リネンの色。黄色がかった薄茶色を指します。
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