「プレシャス・ストーンってどんな宝石?」
宝石やジュエリーに興味を持つと、さまざまな宝石の種類や価値などが知りたくなりますよね。
宝石の中でも貴重とされ、高価な値付けがされる宝石は「プレシャス・ストーン(precious stone)」と呼ばれています。
日本語に訳すと「貴石」(きせき)。
貴石より価値が低いとされるものは「半貴石:セミ-プレシャス・ストーン(semi-precious stone)」と言われます。
貴石と半貴石の違いとは何でしょうか?プレシャスな宝石を代表する「四大宝石」「五大宝石」とは?
今回は、宝石のおおまかな種類分けについてお届けします。
貴石(プレシャス・ストーン)の定義とは?
貴石とは、宝石の中の宝石
「貴石」と「半貴石」の違いについて、実は絶対的な定義はありません。
一般的には、宝石を定義する3つの条件を備え、財宝的・宝飾的に価値の高い宝石がプレシャス・ストーン、貴石と呼ばれます。
【宝石の条件】
- 美しさ 美しい色や輝き、透明感などがある
- 耐久性 長期的な保存や携帯ができる硬度や耐久性がある
- 希少性 産出量が限られる、希少価値がある
具体的には、伝統的に美しさが評価されているモース硬度7以上の鉱物が主に「貴石」とされています。
【参考記事】【宝石の硬度】宝石の硬さは何で決まる?モース硬度とは?
なぜ硬度7以上が「貴石」なの?
なぜ硬度7以上が「貴石」と言われるのでしょうか?
硬度7の基準となる鉱物は石英(クオーツ)。
石英はとても一般的な鉱物で、世界各地で産出され、風化に強く岩石が砂になる段階でも存在。砂漠や砂丘の砂の主成分となっています。
どこにでもあるため、砂埃(すなぼこり)にも含まれている石英。
そのため、砂埃でも傷つくことのない、つまり「石英より硬度が高い石」=「価値が高い宝石」とされているのです。
※貴石のみが「宝石」であるという考え方もあります。
「四大宝石」「五大宝石」とは?
世界が認める「四大宝石」、定義があいまいな「五大宝石」
具体的な宝石名を見ていきましょう。
貴石の中でも「四大宝石」といえば以下の宝石。四大宝石については、世界中でおおむね意見は一致しています。
【四大宝石】
- ダイヤモンド:透明な宝石の代表、硬度10
- ルビー:赤い宝石の代表、硬度9
- サファイア:青い宝石の代表、硬度9
- エメラルド:緑の宝石の代表、硬度7.5~8
※ちなみに鉱物種としてはルビーもサファイアもコランダムという同じ仲間です。サファイアは青のイメージですが、さまざまなカラーがあります。
宝石の条件を備えた「四大宝石」は、古来より人々を魅了し、富や権力の象徴としても貴ばれてきました。
これが「五大宝石」となると、普遍的な定義は決まっていません。
希少性からアレキサンドライトを入れることが多いですが、有機宝石である真珠、東洋で貴ばれてきた翡翠の場合もあります。
貴石と半貴石の線引きはふんわりしている
つまり「四大宝石」は誰もがその貴重な価値を認識していますが、それ以外の宝石については国や民族、伝統、人の価値観などによっても考え方は異なり、明確な線引きはされていないのです。
「硬度7以上の宝石」という視点では、例えば以下の宝石があげられます。
- アレキサンドライト
- トパーズ
- ガーネット
- アクアマリン
- トルマリン etc.
また以下は硬度は劣るものの、貴重な価値を認められ貴石とされることが多い宝石です。
- 翡翠(ひすい)/真珠:東洋で貴重とされるプレシャス・ストーン
- オパール:「遊色」を持つ美しい外観
貴石とは「四大宝石 プラス 硬度や希少性、歴史的評価、人気などによって貴重とされる宝石」と言えるでしょう。
いっぽう、以下は宝石のうち貴石以外、「半貴石」とされることが多い宝石です。石英(クオーツ)の仲間や半透明の石など。
- アメシスト
- シトリン
- ムーンストーン
- ターコイズ
- ラピスラズリ
- アゲート etc.
価値ある宝石とは?
貴石・半貴石は、市場取引のための目安
貴石や半貴石の区分けは、市場で取引される宝石を価値判断するための目安のひとつです。
実際には鉱物種だけではなく、産地、処理、色合いやカットなどの姿といったさまざまな視点で価値が判断されます。
宝石の価値は、人間が鉱物の物理的性質や美しさと出会いながら、歴史の中で長い年月をかけて築いてきたもの。
ただ人間が考える価値ですから、線引きはあいまいで長期的に見れば変化する可能性もある「生きている基準」とも言えます。
例えばパライバトルマリンは1989年に市場に出た新しい宝石ですが、人気となり高値で取引されています。ラボグロウンダイヤモンドのような技術革新によって、将来的に人々の価値観が変化する可能性もあります。
自分にとっての価値とは?自分の感性を大切に
半貴石と言われる宝石も、とても美しいものやユニークな個性のあるものがたくさんあります。
宝石の価値を決めるのは市場だけではなく自分自身の感性。
「ダイヤモンドの輝きに惹き込まれる」「きれいな色石を集めたい」「鉱物っぽい模様のある石が不思議で面白い」…どんな理由でも、心惹きつけられる宝石があれば、それが自分にとっての一期一会の貴重な宝石と言えるのかも。
自分にとって価値ある宝石に出会うのもまた宝石やジュエリー探しの楽しさのひとつですね。
POINT
- 「貴石(プレシャス・ストーン)」「半貴石(セミ-プレシャス・ストーン)」は、宝石の取引のための大まかな種類分け
- 貴石・半貴石の明確な線引きはないが、「四大宝石」は貴石の代表
- 目安を知りつつ、自分にとって価値ある宝石と出会おう
★そもそも「宝石」とは?鉱物との違いは?詳しくはこちらの記事へ。
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。