宝石と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
多くの人は、ジュエリー・アクセサリーに仕立てられた状態を想像するのではないでしょうか。
枠にセッティングされていない宝石を見たくても、ファッションアクセサリーを取り扱うショップではなかなか難しいもの。
しかし、ブライダルショップで、小さなケースに入ったダイヤモンドを見たことがある!という方もきっといらっしゃいますよね。
枠にセッティングされていない状態の宝石は「ルース」と呼ばれています。
今回はこのルースについて、原石との違いや加工の工程を簡単にご紹介。
ルースの定義とは?原石とはどう違う?
ルースは英語で「loose」。
「しっかりと固定されていない」といった意味の言葉。
正式にはloose stoneと呼ばれ、それに対応する日本語は「裸石(はだかいし)」です。
原石とルースの違い
私たちが知っている宝石の輝きのほとんどは、原石を研磨することで生まれます。
そのため、一般的には研磨を行なった宝石がジュエリーに用いられ、ルースはこの研磨石を指すのです。
しかし、例外もあります。
産出したままの状態で既に美しいものや、ユニークな形を活かしたい場合には、原石のままジュエリーに仕立てられることも。
つまり、ルースは研磨石だけでなく原石を指す場合もあるということ。
英語の「固定されていない」という意味は、石枠に留められていない状態を指しているのです。
ルース加工の流れ
宝石が持っている美しさを最大限に引き出すためには、カットが重要になります。
原石をいきなり研磨するのではなく、どうカットすれば良いのかを見極めるのが必要不可欠。
その最初の工程として「オリエンテーション」が挙げられます。
オリエンテーション
どの面をテーブル面にするのか、どんな形が最も石の魅力を引き出せるのかを、原石の状態から判断します。
たとえば多色性を持つ宝石。
見る角度によって色が変わる性質を考慮し、オリエンテーションを行うことが重要です。
せっかく色が綺麗な原石でも、カットした後に無色に見えてしまっては、魅力を十分に引き出したとは言えませんよね。
また、インクルージョンやクラックといった要素も加えて考慮します。
マーキング
カットが決まったら、マーカーで直接原石に印をつけます。
この印はソーイングの際に、石を切削する目安にもなります。
ソーイング
マーキングに沿って原石を切削。
原石の大きさと、ルースに欲しい大きさが変わらない場合には、この工程が省かれることもあります。
ポリッシング
研磨では求める形にするために細やかな調整が必要。
研磨機も使用しますが、ほとんどが手作業で行われます。
ファセットカットは面をつけるのでカットが多くなり、それに伴い工程も増加。
カボションカットは面をつけるというよりは、石を丸く磨き上げるといったイメージです。
カットの種類だけでなく、宝石の性質も考慮して行うことが必要なポリッシング。
技術はもちろん、求められる知識量も多くなります。
仕上がったルースは、ジュエリー・アクセサリーに仕立てられるだけはありません。
ルースの状態で販売されたり、オーダー用として店頭に並ぶこともあります。
ルースを手に入れる手段としては通販も一つ。
実際に見て購入したいのであれば、ミネラルショーやルースショップに足を運んでみましょう。
自分好みのルースが手に入ったら、そのまま手元に置いて美しさを堪能するのもよし。
ルースの持ち込みができるお店であれば、ジュエリーオーダーを依頼するのも楽しいですよ!
既製品とはまた異なる、ジュエリーの楽しみを体験したいという方におすすめです。
POINT
- ルース(裸石)は研磨石だけでなく、原石を指す場合もある
- 加工の工程は宝石によって異なり、それぞれの特性を考慮して行う
- ルースを購入したら、オーダーにチャレンジしてみるのもおすすめ
【あわせて読みたい】ルースをジュエリーに仕立てたいとき、基本のデザインからヒントを得てみてはいかがでしょう
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。