きらびやかな宝石が付いたものだけを指すのではなく、欧米では装身具全てがジュエリーであり、日本でいうアクセサリーという区分がないのだとか…。
映画とジュエリー、今回は「TOP GUN/トップガン」に登場するドッグタグをピックアップ。
アクセサリーとしての印象が強いアイテムですが、元々は別の用途があったことをご存知でしたか?
1986年に公開された「トップガン」はアメリカ海軍を舞台にしたアクション映画であり、2020年には続編の公開が決定しました。
ドッグタグは、主人公マーヴェリック(トム・クルーズ)を含む軍人がネックレスのように身につけており、作中を通してキーアイテムとなります。
ドッグタグとは?国によって異なるデザイン
じつはドッグタグは正式名称ではなく、「IDタグ(認識票)」を表すアメリカ軍のスラング。
個人を識別するために与えられ、アメリカだけでなく世界中の軍で使用されています。
「機能」としてのドッグタグ
ドッグタグは楕円形もあればイギリスでは円形、日本では小判型と形も多様。
また、名前などの個人情報が記されますが、内容もそれぞれ異なります。
現在ではシンプルなデザインで気軽に身につけられるファッションアイテムとして取り入れられるようになりましたが、本来は「戦死してしまった際に、兵士を識別するもの」としての意味合いがあります。
基本的には2枚組みになっており、1枚は遺体、もう1枚は遺族の手に届けられるのです。
「死」を連想させるアイテム
つまり、軍人がドッグタグを着ける目的は「身体が吹っ飛んだりしてもその人を認識できるように」ということ。
名前だけでなく、身につける人の様々な情報が記されたドッグタグ。
何気なしに身にまとっているかのように見えますが、「死」を日常的に意識する職業ならではの緊張感が漂うもの。
アクセサリーとして1枚のプレートだけ身につけることも多いですが、作中におけるドッグタグは2枚と1枚では意味合いを大きく変えるのです。
マーヴェリックはなぜドッグタグを捨てたのか?
物語の中盤、マーヴェリックは訓練中の事故で友人を亡くし自責の念にかられます。
2枚あるドッグタグのうち、1枚は遺族ではなくマーヴェリックの元に。
しかし、物語のラストには海へ投げ捨てるのです。
形見は手軽に捨てられるものではありませんよね。
だからこそ、このラストシーンを見て驚いた方もいるかもしれません。
死を乗り越え、過去の自分に別れを告げたマーヴェリック
マーヴェリックにとって、そのドッグタグには「死」そのものが宿っています。
形見は亡くなった方の生前の姿を思い浮かべるものですが、ドッグタグは死を強力に連想させるもの。
亡くなった時にその機能が役立つからこそ、1枚になったドッグタグはマーヴェリックにとって友人の不在をより実感させる、とても重いものであったのです。
事故のあと、かつてのようなパフォーマンスができなくなったマーヴェリック。
しかし、様々な転機が訪れ、物語のラストでは弱気な自分と決別。
ようやくドッグタグを手放したのです。
それは「ドッグタグを持つ」ということで、友人の死の責任を負うかたちで己に課していた枷も外すことができたということ。
友人と過去の自分を弔う意味で、またこれからもマーヴェリックが海の上を飛び続けるという決意もあったからこそ、ドッグタグを海に投げ入れたのではないでしょうか。
複雑な思い出のあるジュエリーやアクセサリーについて
ジュエリーは長い時間を共にできるからこそ、様々な思いが宿るもの。
もしかすると素敵な思い出以外に、複雑な想いものせているかもしれません。
しかし、ほかのアイテムと違って、そのまま残すだけがジュエリーの活かし方ではありません。
金属は溶かして新しい形を、宝石はデザインを変えて新しい魅力を発見できます。
マーヴェリックのように捨てるのはもったいないというアイテムは、思い切ってリフォームしてみるのも良いかもしれません。
あなたにとって一番良い方法で、ジュエリーを楽しんでくださいね。
POINT
- ドッグタグはもともと個人を識別するIDタグ(認識票)
- 国によって形や枚数、タグに記される内容が異なる
- ジュエリーは形を変え、新しい魅力を付与できるもの
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。