その色味から、古代では炎や血が入っている宝石と信じられていたルビー(ruby)。
5月の誕生石であり、現代でも「宝石の王」がダイヤモンドなら、「宝石の女王」はルビーというほど、圧倒的な存在感をもつ宝石です。
ルビーの意味から代表的なルビーの産地、購入時の注意点まで。
華やかさと力強い輝きを放つ、情熱的な赤い宝石ルビーについての基礎知識をお届けします。
ルビーの意味、和名は?いつの誕生石?
ルビーの意味と和名表記
ラテン語で「赤」を意味する「ルベウス(rubeus)」が語源となったルビー。
ダイヤモンド、エメラルド、サファイアと並ぶ四大宝石のひとつ。
紀元前より珍重されてきた宝石で、赤色の石はすべてルビーと考えられていた時代もありました。
また、古代インドでは宝石の王を意味する「ラトナラジュ(ratnaraj)」とも呼ばれ、ダイヤモンドの輝きを引き出すカット技術が確立されるまでは、宝石のなかで一番と崇められていた宝石なのです。
鉱物名は「天然コランダム」。
実はサファイアと同一鉱物であり、赤色がルビー、それ以外はサファイアと呼ばれます。
モース硬度は9とダイヤモンドに次いで高く、三方晶系の酸化鉱物。
ルビーの和名は「紅玉(こうぎょく)」。
「玉(ぎょく)」は、中国では主に翡翠を指します。
しかし、エメラルドの「翠玉(すいぎょく)」や、アクアマリンの「藍玉(らんぎょく)」に代表されるように、「玉」はさまざまな宝石の和名に用いられています。
参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧
石言葉
ルビーの石言葉は「情熱」「慈しみ」「威厳」。
持つことで勇敢な心を育てると考えられ、兵士が好んで身につけたとされています。
7月の誕生石
ルビーは7月の誕生石。
他にもアメリカやイギリス、オーストラリアで7月の誕生石のひとつとして制定。
参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味
価値の高いルビーの産地は?ピンクサファイアとはどう違う?
産地によって異なるルビーの色味
主にミャンマーやマダガスカル、タイ、スリランカで産出するルビー。
なかでもミャンマーのモゴック産は最高品質とされ、鳩の血を意味する「ピジョン・ブラッド(Pigeon Blood)」と呼ばれています。
鮮やかな赤から少し紫がかった色味は、深みのあるワインの色味にも例えられるとか。
他にも主にタイで産出する「ビーフ・ブラッド」は黒みを帯びた赤色で、「チェリー・ピンク」はスリランカやベトナムで産出し、明るく透き通ったピンクに近い色味が特徴です。
ルビーとピンクサファイアの違い
コランダムは純粋な状態だと透明な鉱物であり、不純物が混入することでさまざまなカラーが出現します。
クロムが混入するとルビーに。チタンや鉄が混入することでサファイアに。
しかし、実はピンクサファイアにも「クロム」が含まれているのです。
ルビーとピンクサファイアの違いは「クロムの含有率」によって判断されます。
クロムは含有量が多いと赤が強く、反対に少なければ薄いピンクに。
その中でも一定量のクロムを含むものが「ルビー」の名称を授けられるのです。
つまり、「ここからがルビーで、ここからがピンクサファイア」といった明確な線はないということ。
それでも鑑別機関によって基準は設けられているため、お手持ちの宝石がルビーかピンクサファイアかわからないという場合には、鑑別機関に依頼するのもひとつですね。
購入時の注意点は?合成石に注意?
まずは、ルビーと偽られたピンクサファイアに注意すること。
先ほども述べたように、ルビーとピンクサファイアの明確な線引きをするのは難しいもの。
なぜなら色は赤とピンクの二色だけ存在するものではなく、赤からピンクにかけてグラデーションになっているからです。
そのため、ルビーに限りなく近いピンクサファイアもあれば、ピンクサファイアに近いルビーもあるということ。
ルビーに近い色味のピンクサファイアだから必ずしもお得ということではありません。
しかし、実際の価値以上に見せるように、ルビーと名付けられたピンクサファイアを販売しているお店のことを信頼できるのかというと、疑問が残ります。
大事なことは、どのような宝石かしっかりと説明を受けて、納得して購入できるかどうかです。
次に、天然と合成の違いに注意すること。
1891年、はじめて市場に登場した合成石としても知られているルビー。
流通量が多く、なかには天然と見分けがつかない合成ルビーもあります。
これも合成と知っていて購入するのではなく、天然と偽った合成ルビーを購入しないように注意しましょう。
どちらも肉眼で見極めることは難しいため、信頼できるバイヤー・お店を見つけることが一番。
わからないこともその場でしっかりと説明を求め、納得できたら購入するようにしましょう。
確実に天然ルビーを手に入れたい場合には、信頼度の高い鑑別会社が発行した鑑別書がついたものを購入するのもひとつです。
(ph:PIXTA)
POINT
- ダイヤモンドのカット技術が確立されるまで、宝石の王であったのはルビー
- ルビーとサファイアは同一の鉱物「コランダム」
- ルビーとピンクサファイアの違いはクロムの含有率
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