マーケティング

小さなブランド&お店のマーケティング物語 第4回:3C分析って何?

気になるマーケティングについて学べる、ジュエリーショップのユイさんと不思議な猫の物語・第4回です。
今日はユイさん、マーケティング調査の気分で街歩き。いろいろなお店を覗いています。
「…あ、ここのショップ、いいなあ」
その時、空のほうから声が聞こえてきました。
『今、いいなあと思ったのは、どこらへんでしょう?自分の店と比べて、この店はどこが魅力だと感じますか?』

なぜ「いいなあ」と感じるのか…分析に役立つ3Cとは?

見上げると建物の屋上に、あの不思議な猫がいます。
「…うーん。そう言われると…」
ユイさんは首をひねりますが、なかなか的確な言葉が浮かびません。猫はしなやかに、ユイさんの足元まで降りてきました。
『ユイさんはもう少し状況や考えを掘り下げるといいかもしれません。…そうだ、3Cって知っていますか』
ダイヤモンドの4Cなら知っているんですけど…3C?」

3Cとは?

  • 自社   Company
  • 競合   Competitor
  • 顧客   Customer

『自社の環境、競合や顧客といった外部の環境。この3つを分析して自社の立ち位置や提案内容をはっきりさせるのが3C分析です』

お客様が商品を気に入る決め手とは?

「私、競合とか考えるのあまり好きじゃないんです。競う、というのが苦手で」
ユイさんがつぶやくと、猫はきらりと目を光らせました。
『それは、ユイさん自身の立場から、考えているからではないですか。お客様となる誰かの立場で考えてみましょう』
いちばん最初に言われた、<誰か>ですね」
『はい。誰かは、ユイさんの商品を、例えばSNSの画像で発見するかもしれない。でも、その画像に一目惚れしてすぐに買うと決めてくれる、世の中そんな運命的な人ばかりでしょうか?』
ユイさんはちょっとドキッとしました。たしかに、写真を見て誰かが惚れ込んでくれれば…と何となく思っていたところがあったからです。

『人間は、言葉や数字でものごとを比較しますよね。比較することで初めて、自分にとっての価値や買う理由を測り、納得することができる、とも言えます』
ユイさんははっとしました。
「そうか。比べることが、気に入るかどうかの決め手になるのか…」

『似たようなテイスト、価格帯で、他にもいい商品があるかも?と考えている誰かの気持ちになってみてください。ユイさんが、比較されそうな他社の提案を知ることで、自分がおすすめすべきポイントをもっと明確にできるのでは?』
「<私が競う>ではなく、<お客様の立場に立って比較しやすくするには>と考えるんですね」

3C分析で見出す、USP/バリュー・プロポジションとは?

『3C分析を図にしてみましょう』

  • 自社の提案できる価値とは?
  • その中で、最近のお客様の関心や、お客様に求められる価値とは?
  • さらに競合他社がやっていない提案とは?

『自社と顧客が重なり、競合を引いた図の青い部分は、USP(ユニーク・セリング・プロポジション、独自の売りの提案)やバリュー・プロポジション(価値の提案)と言われます。環境を分析して考え抜き、自分らしさをはっきりとさせてみましょう』

「私の、ユニークな売り…何だろう…」

ユイさんは、とあるショーウィンドウの前で立ち止まりました。以前から気になっていた、素敵なジュエリーショップです。でも、何となく自分の店も負けていないと思っていました。
「何となく…より、もう一歩突っ込まないといけないんですね」
『はい。書き出してみてください。ユイさんが大事にしている思いや世界観、商品のオリジナリティ、お客様はどんな価値や喜びが得られるのかなどなど。このショップにもカタログやWebサイトがあると思いますが、それと比べて、ユイさんの提案はどう違うのか?お客様のニーズに合っている点はどのあたりなのか?まだやっていない提案もあるのではないか?…3C分析で自分のUSPを見出し、提案の機会を創り出していきましょう』
ユイさんの瞳も、輝いてきました。これまで漠然と意識していた自分のお店の価値をもっとクリアにする作業、始めてみたいと思ったからです。

POINT

  • 3CとはCompany、Competitor、Customerの略
  • 3C分析で自社の立ち位置をより明確にすることができる
  • 自社の提案できるユニークな価値や提案の機会を見出そう

「小さなブランド・お店のマーケティング物語」は月1回連載予定です。次回もお楽しみに!

Text by officenovel